働くしあわせプロジェクト:インタビュー


ソーシャルビジネスの手法を知り、目からウロコ!

作業風景 産学連携の仕事で、大学の研究成果が社会に還元されるスキームづくりに携わっていたんですが、その仕掛けのひとつにサロンをつくる方法がありました。シリコンバレーなどの海外の大学にはパブがあり、それがサロン機能を担って、分野横断的な専門家の交流を生み、研究成果の事業化に貢献していたんですね。

私が勤めていた大学でもサロンを検討することになり、その時、障がい者就労で有名な「スワンベーカリー」のカフェを知りました。でも私、障がいのある人たちが運営するカフェはサロンにはふさわしくないんじゃないかって、最初は思っていたんですよ。
ところが、東京に行く機会があり、たまたまスワンベーカリーのカフェに行って、まあ、びっくりしたんですね。コーヒーは美味しいし、サービスもいいし、他のコーヒーショップに劣るところがない、と。

実際にスワンベーカリーを立ち上げた方からもお話も聞き、すごく刺激を受けました。それまで私自身はボランティアベースで細々と障がいのある人とかかわってきたことから、障がいのある人のために何かをするには福祉の仕事に就くか、ボランティアでしかかかわれないと思い込んでいたんです。しかし、スワンベーカリーを立ち上げた方はバリバリのビジネスマンでしたし、ビジネスとして障がいのある人とかかわる「ソーシャルビジネス」という方法があることを知って、目からウロコでした。

それからは、「こんなビジネスだったら、障がいのある人の働く場につながるじゃないか」と、アイデアを考えては仲間にしゃべるようになっていったんです。それで、ある時、「福井さんのアイデアが第三者的にどう評価されるのか確かめるために、コンペに出してみたらどう?」と誘われて…。
自分のプランにマルかバツか採点してもらえるだろう、という安易な気持ちで応募したのが、NPO法人ETIC.が主催するソーシャルビジネスプランのコンペでした。当時は、起業しようは思っていなかったので、そのコンペでファイナリストに残り、心苦しくなりました。「起業しなければいけないのかな?」とプレッシャーにもなったりして。

結局、すぐに起業するか、しないかではなく、大学の仕事を続けながらできることを一歩ずつやっていこうと決めました。大学では事務の効率化が課題となっていましたので、アウトソースすることで効率化につながる作業をみつけ、障がい者施設に外注するようにしていきました。データの入力や、ホームページに関する仕事などをやってもらいました。
それから2年ほどが経ち、一度しかない人生だから、もうちょっとやってみようかな、と。運良く大学からプロジェクトの一部を業務委託してもらいながら、障がい特性と環境を整理する研究に携わることに。実務を通して研究を進めるため、2006年に障がいのある人の就労トレーニングの場となるオーガニックのお弁当事業を立ち上げたんです。