働くしあわせプロジェクト:インタビュー
「ノーマライゼーション」の先進地域、大阪府箕面市で育つ
「ノーマライゼーション(共生社会)」って、私、難しくないんじゃないかと思っているんです。難しく思えますが、小学生にできたんだから、力を合わせれば大人にできないはずがないって、思います。私が育った大阪府箕面市は福祉の先進地域で、ノーマライゼーションが進んでいます。母校の箕面小学校には障がいのある子も通っていましたし、行事は生徒全員が役割分担して、企画運営するのが当たり前。障がいのある子を除外して考えることはありませんでした。障がいのある生徒に対して、必要な時に、必要なだけ、そばにいる生徒がケアする。みんなが少しずつできることをして、学級生活が回っていたんですね。
でも、小学校を卒業してだんだん地域から離れて進学すると、障がいのある人と接することが少なくなっていきました。学生時代は、筋ジストロフィーの方の外出介護のボランティアをしていたんですが、一般企業に就職してからは忙しくて遠のいてしまいました。
その中には、私が社会に出て忙しくしている間に、亡くなる方もいらっしゃったりして。なんというか…、障がいのある人と、ない人が、まったく別の世界で生きているような感覚を覚えたこともありました。
一方で、私は一般企業に勤めた後、大学職員として産学連携の仕事に就いたんですが、周りの同僚はすごく優秀な方ばかりでした。この時に、彼らが障がい者と接したことがほとんどないことを知りました。この優秀なスキルが少しでも障がい者施設に活用されたらいいのになぁと思ったのも、この時でした。そして、無理な働き方をして体を壊したり、中には、心のバランスを崩してドロップアウトする同僚もいたんです。一見、成功をつかんでいるように見えたエリートの同僚が、実は心を病んでドロップアウトせざるを得ない社会って、何か大切なものを見失った社会なんじゃないかな。不健康な社会なんじゃないかな、と思うようになりました。